漫遊いばらき!stamp rally club

スタンプラリーと出会った少女【ちひろ】 に翻弄される仲間達の物語

星座に抱かれて(17年07月15日)

西の空に日が沈む・・・

今まで赤かった空は次第に青くなり、そして辺り一面は暗へと落ちて行く。

静寂に包まれた暗闇の中を見つめていると、一点の光が目に飛び込んで来る。

一番星だ。

今宵の7月15日は土星が一段と輝いて見える。

琴座のベガと鷲座のアルタイト、白鳥座のデネブをつなげた夏の大三角は有名で、子供の頃に教わった記憶だけは残っている。

最後に星空を前にして探したのは、何年前の事だろう?

そういえば、働く様になってから、もう何年も星に興味を抱くことは無かった。

そうは言っても、日本人はイベントだけは大好きで、7月と言えば、年に一度、織姫と彦星が会える七夕が有名である。

年に1回しか会えない二人なのだから、楽しみたい事が山ほどあるはずなのに、強欲な人間共はそんなことお構いなしに、自分勝手な欲望を短冊に書いて二人にお願いするのだ。

きっとその願い事は星の数ほどあって、星雲となり、二人の仲を裂いているのだろう。

二人を別つ天の川も、今、目の前に「星雲」となって映し出されている。

今日はもう、7月7日を8日程過ぎてしまっているから、残念ながら二人はもう、離れ離れになってしまっているだろう。

遠距離恋愛ご苦労様です。

そんなことを考えていると、朝日が地上を照らし始めた。

「お疲れ様でした」眠気を誘う男性の優しい声が館内に響き渡ると、館内の照明が明るくなった。

 

今日は第1回、スタンプラリー部として、つくば市のエキスポセンターに天使の微笑を持つ少女、ちひろとプラネタリウムを見に来た。

「部」と言っても、まだ2人しかいない部である。

部が創立された経緯はまた後日、番外編で説明することとする。

 

私は、久しぶりに見た星に感動し、ちひろの方に視線を向けた。

次の瞬間。

目を大きく見開き、口に手を当ててこっちを見たちひろは、小さくつぶやく・・・

「寝ちゃった・・・」

そう言うと、ちひろは天使の様に微笑んだのであった。