『君の膵臓をたべたい』の悲劇
スタンプラリー部は、「趣味は読書です」と答える人を応援します。
『君の膵臓をたべたい』読みました?
お勧めです。
飛行機の中で泣きそうになりました。
感動ものはダメですね。
やり場の無い感情が込み上げて来て、発狂したくなる。
でも、感情を表に出すのは苦手です。
だから余計苦しい・・・
声を出して泣き叫べたら、どんなに楽だろう・・・
でも、泣いちゃダメ!
だって・・・男の子だもん!
でもね、この感動を誰かと共有したくて、ちひろにも貸しました。
6月上旬だから、まだスタンプラリー部が出来る前のことですね。
で、同じ頃「映画やるから良かったら観に行こう」って話した訳です。
7月28日から全国ロードショーされていますが、皆さんもう観に行きましたか?
もし観てないなら、誰か一緒に観に行きませんか?
えっ?ちひろを誘ったんだから、一緒に行ったらどうだって?
えぇ・・・誘いましたよ。
確かに私は公開前に誘いましたよ・・・
ちひろ:あ、映画見ましたよ!『君の膵臓がたべたい』
俺 :えっ?まじで??いつ?誰と??
ちひろ:木曜日に一人で!
俺 :えっ?一人?なんで誘ってくれないの?一緒に行こうって話たじゃん!
ちひろ:あれ?そうでしたっけ?
そう言うと、ちひろは「テヘッ」と笑顔で微笑むのであった。
流石の私もね・・・
ちょっとショックですよ。
しかも一人って・・・
だから、ここぞとばかりにチクリチクリとちひろを弄ってやった訳です。
どうせ俺はちっちゃい男ですよ。
でもね、この話には、続きがあるんです。
俺はちひろから返って来た本を、今年入社のさきちゃんに貸したんです。
布教作業には労力を惜しみませんから。
その事を知ったちひろは、さきちゃんに言ってくれたそうなんです。
「私約束したのに一人で観に行っちゃったから、さきちゃん一緒に行ってあげて!」
なんて優しいん子なんだ!!グッジョブちひろ!!って最初思いました。
あれ?でもちょっと待てよ・・・
これで、さきちゃんから「行きませんか?」って誘われなかったら、それはそれで
俺寂しくね??
既読スルー状態みたいな??
むしろその事実を知らない方が俺は幸せだったのでは???
俺がちひろにそう突込むと、ちひろはまた天使の様に微笑むのであった・・・
あれ?一瞬、悪魔の微笑に見えたのは気のせいだろうか・・・
まさかね、うん、気のせいだろう・・・
忘却girl(17年7月15日)
『掟上今日子の備忘録』と『1週間フレンズ』と『ちひろ』
この3つに共通するキーワードは何かと聞かれれば、「記憶が無くなる」と答える。
掟上今日子さんは1日で記憶がリセットされてしまう探偵である。
ピンクの髪とか非現実的だが、2015年に放送されたドラマは、ガッキーこと新垣結衣の可愛さを再認識させた名作と言えるだろう。
日本テレビありがとう!!
最近は心が病んでいるので、感謝の言葉を意識して使う様に心がけている。
じゃあ、ちひろは何か病気なの?心配だ!となりそうだが、ご安心を。
これは仮説の域を出ないが、ちひろはあまり周りに興味がないのだと思う。
ちひろにとって重要でない事は全て忘れて行くだけである。
さて、今日は7月15日の午後、我々スタンプラリー部一行は、プラネタリウムを堪能(ちひろは寝ていたが・・・)した後、阿見プレミアムアウトレットへ足を運んだ。
目的は、スタンプラリーの冊子をゲットする事だ。
例え部員が二人でも、我々はスタンプラリー部である。
冊子を持っていなければ、それはもはや部活動では無く、デートである。
つくばエキスポセンターに冊子が置いてあれば良かったのだが、見当たらない。
なんせ星の王子様がちひろの為だけに用意したプレゼントだからしょうがない。
「冊子の設置を止めました」的な張り紙を掲示するエキスポセンターに対して苦情を言う気など微塵も無いし、俺はそんなに小さな男ではない。
相手には相手の正義があって、きっと大人の事情があるのだろう。
セカイノオワリも、そんな歌詞を歌っていたではないか!
ドラゴナイ🎵ドラゴナイ🎵と・・・
冊子を手に取った我々に対して、アウトレットの事務員さんは親切丁寧に色々教えてくれた。エキスポセンターの塩対応とは随分と違う。是非見習ってもらいたいものだ。
ちなみに、アウトレットでは、🉐エンジョイクーポンと引換えに、紫色のボールペンがノベルティとして貰えます♪
その後我々は、フードコートでしばしご歓談の時を過ごす。
「あれ、一緒に門番受付やったことありましたっけ?」
ちひろの言葉がグサッと胸に突き刺さる。
「2回ほど、一緒にやってますが・・・」
しかも、その内の1回は、知人が出演する演劇にちひろを誘った回なんですけど・・・
その後の食事でスタンプラリーの存在を知り、現在に至るんですけど・・・
もしもあの時、門番受付の相手が2回も入替わって、ちひろになっていなければ・・・
もしもあの時、友人が出演する演劇が開催されていなければ・・・
もしもあの時、ちひろを誘う勇気が持てなかったら・・・
今、ちひろとこの時を一緒に過ごす事はなかったであろう。
スタンプラリー部は、いくつもの偶然が重なって起きた小さな奇跡なのである。
だが、残念ながらそんな事は、ちひろにとってはさして重要ではない。
「私直ぐ、忘れちゃうんですよね・・・。
門番中の会話なんてほとんど覚えてないけど、今思い出しました!
思い出せるだけ、すごくないですか!?」
声を弾ませながら、ちひろは天使の様に微笑むのであった。
かわいく微笑めば許されるほど、世の中甘くない。
世間の厳しさを教えておく方が、ちひろの為である。
笑顔は女の武器である。
この天使の微笑を惜しみも無く披露されたら、世の中の馬鹿な男共はみんな勘違いし、騙され、流されてしまうことだろう。
そして残念ながら、どうやら私もその馬鹿の一人らしい・・・
「うん、そうだね・・・すごいすごい・・・」
プロローグ
47都道府県別魅力度ランキングワースト1位を2013年より死守する茨城県。
全国民から「魅力ゼロ」と言う不名誉なレッテルを貼れた茨城県に、2016年4月、一人の天使が関西から舞い降りた。
「農業のイメージを良くする!」と夢と希望を膨らませ、明るく微笑む少女。
しかしそれから数か月・・・
少女が直面した現実は、そんなに甘いものではなかった。
男運ならぬ上司運にも恵まれず、苦労の日々が無慈悲に体と精神を蝕んでいく・・・
いつしか、「農業のイメージを良くする」と言う夢も薄れ、黙々と日々の業務を消化する生活が続く中で、天使の微笑も少しずつ失われていった・・・
もうこんな会社辞めてしまおうか・・・
そんな想いが強くなると、彼女は一人、プラネタリウムに足を運ぶのである。
大好きな星に包まれ一体化する事で、彼女の心は浄化され、何とか均衡を保つ事が出来た。
それが、いつ壊れるとも知れない彼女の精神を現実に留目る事が出来る唯一の方法だった。
そんなある日のこと。
上映時間を待って居た彼女は、無雑作に置かれていた一冊の冊子を手に取った。
まるで何か得体の知れない大きな力に引き寄せられる様に・・・
彼女を取り巻く運命の歯車が「カチッ」と音を立てて嚙み合った瞬間である。
今にして思えば、星を愛する彼女への、星の王子様からのプレゼントだったのかもしれない。
運命の歯車は確実に、しかし彼女の気づかない所でゆっくりと回転を始めていた。
彼女が冊子を手に取ってから約1年・・・
小さく動き出した歯車は、いくつもの歯車を介し、新たな歯車を動かし始めた。
星の王子様をも魅了してしまった彼女の微笑
本当に彼女は天使なのか・・・
それとも天使の微笑を持つ悪魔なのか・・・
このブログは、一冊の冊子【漫遊いばらきスタンプラリー】と出会った少女【ちひろ】が奏でる、喜怒哀楽を記録したメロディ(物語)である。
星座に抱かれて(17年07月15日)
西の空に日が沈む・・・
今まで赤かった空は次第に青くなり、そして辺り一面は暗へと落ちて行く。
静寂に包まれた暗闇の中を見つめていると、一点の光が目に飛び込んで来る。
一番星だ。
今宵の7月15日は土星が一段と輝いて見える。
琴座のベガと鷲座のアルタイト、白鳥座のデネブをつなげた夏の大三角は有名で、子供の頃に教わった記憶だけは残っている。
最後に星空を前にして探したのは、何年前の事だろう?
そういえば、働く様になってから、もう何年も星に興味を抱くことは無かった。
そうは言っても、日本人はイベントだけは大好きで、7月と言えば、年に一度、織姫と彦星が会える七夕が有名である。
年に1回しか会えない二人なのだから、楽しみたい事が山ほどあるはずなのに、強欲な人間共はそんなことお構いなしに、自分勝手な欲望を短冊に書いて二人にお願いするのだ。
きっとその願い事は星の数ほどあって、星雲となり、二人の仲を裂いているのだろう。
二人を別つ天の川も、今、目の前に「星雲」となって映し出されている。
今日はもう、7月7日を8日程過ぎてしまっているから、残念ながら二人はもう、離れ離れになってしまっているだろう。
遠距離恋愛ご苦労様です。
そんなことを考えていると、朝日が地上を照らし始めた。
「お疲れ様でした」眠気を誘う男性の優しい声が館内に響き渡ると、館内の照明が明るくなった。
今日は第1回、スタンプラリー部として、つくば市のエキスポセンターに天使の微笑を持つ少女、ちひろとプラネタリウムを見に来た。
「部」と言っても、まだ2人しかいない部である。
部が創立された経緯はまた後日、番外編で説明することとする。
私は、久しぶりに見た星に感動し、ちひろの方に視線を向けた。
次の瞬間。
目を大きく見開き、口に手を当ててこっちを見たちひろは、小さくつぶやく・・・
「寝ちゃった・・・」
そう言うと、ちひろは天使の様に微笑んだのであった。